セルマ・オリヴァー/リンダ・ガイザーのヌード 質屋

質屋(1964/米/116分)　映画の感想
セルマ・オリヴァー/リンダ・ガイザーのヌード

質屋(1964/米/116分)　映画の感想

ナチスの強制収容所で家族を殺され、自分ひとり生き残り、心を閉ざしてニューヨークの貧民街で質屋をしている男が、ある悲劇を通して最終的に人間的な感情を取り戻すまでを描いたドラマ。

強制収容所での非人道的環境での生活と、強制収容所を生き残って様々な人種が暮らす貧民街で冷徹に質屋を営む心に傷を抱え感情を失った男の現在の生活とを交差させる構成が見事な、人間性の本質や人種差別、貧困、PTSDなどの問題に鋭く言及した社会派ドラマの傑作。監督は『十二人の怒れる男』や『狼たちの午後』(私の生涯ベスト作品の一つ)のシドニー・ルメット。主役の質屋の店主にロッド・スタイガー。ロッド・スタイガーの演技は圧巻で、『質屋』は彼の出世作になったが、この数年後に同じ彼が今度は『夜の大捜査線』で人種差別的な警察署長を演じてアカデミー賞を受賞しているところがまたスゴイ。本作はまた、アメリカの一般映画に露骨な性やホモセクシャルをにおわせる描写や、女優のトップレスのシーンをほとんど初めて登場させた映画としても知られ、アメリカ映画史的には作品の高いクオリティを含め非常に重要な作品となっている。