存在の耐えられない軽さ(1988/米/171分) 映画の感想
共産主義体制のチェコスロバキア、有能な外科医トーマスは色男で、芸術家のサビーナはじめ複数の女性と浮名を流していた。ある日彼は出張先でテレザという不思議な魅力を持った女と出会い、彼女と付き合い始める。テレザはトーマスがサビーナはじめ複数の女性と関係している事に戸惑い苦しませるが、サビーナとは友情を育む。浮気性のトーマスもテレザにだけは特別なものを感じていたが二人の関係は、ソ連軍が突如としてプラハに侵攻してきたことで大きく揺れ動く・・・。
ミラン・クンデラの同名小説を映画化した恋愛ドラマ。監督は『SF/ボディ・スナッチャー』のフィリップ・カウフマン。出演者はダニエル・デイ=ルイス、ジュリエット・ビノシュ、レナ・オリンら。フィリップ・カウフマン監督は私見では、作品によって出来不出来・濃淡はあるが、映画における演出や人間描写や芸術性や娯楽性や性のモチーフなどにおいてヨーロッパ的なウェットさとアメリカ的なドライさを適度に合わせ持つクリエイターだと思っていて、それは初期の『SF/ボディ・スナッチャー』などにもみられるが、その彼の特徴が最もいい感じで発揮されるのが、本作や『ヘンリー&ジューン/私が愛した男と女 』といったヨーロッパを舞台にした性や恋を題材とした作品だと思っている。原作小説は登場人物の内面が複雑であったり哲学的要素が顕著な作品だが、映画化された本作はいい意味で難解さがなく純粋な男女の恋物語となっていて、「プラハの春」のシーンなどのスペクタルシーンも見ごたえがあり(演出が素晴らしい)、話題となったエロチツクなシーンも含め、原作の根幹にある精神や芸術性を失わずにいい形で娯楽映画としての体裁を保っていてそのバランスが実にいい。また本作の主要キャストはすべてヨーロッパ出身だが、ダニエル・デイ=ルイス、ジュリエット・ビノシュ、レナ・オリンらの相性も良く、彼らの役者としての魅力が最大限に引き出され、そこも良い。「アメリカ映画」として傑作だと思う。
ジュリエット・ビノシュのヌード
原作でのテレザの複雑で病的ともいえる内面描写は薄れ、映画版での彼女は権力との戦いや浮気性の恋人の存在で悩み苦しむ、線は細いが普通の女の子となっていて、私はこれはこれでありだと思う。本作は、レオス・カラックスの『汚れた血』へ出演し、そのスクリーン上における譬えようのない独特の魅力で世界的に注目されていた彼女の、その魅力を存分に味わえる作品。
レナ・オリンのヌード
本作はスェーデン出身の彼女のハリウッドデビュー作。ダニエル・デイ=ルイス、ジュリエット・ビノシュらとの奇妙な三角関係と友情が描かれ、映画ラストの彼女の演技は涙を誘う。月並みな表現だがだがセクシーで、公開当時有名になったジュリエット・ビノシュとの女同士でのヌード写真撮影など、本作におけるエロと芸術性を兼ね備えたシーンで存在感を発揮している。
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The Saul Zaentz Company Orion Pictures
ダメージ(1992/米/仏/111分) 映画の感想
イギリスの議員スティーヴンは将来の大臣候補と目される有能な男で、家族にも問題がなく順風満帆な人生を送っていた。しかしそんなある日自分の息子マーティンが連れてきた恋人アンナとお互いに惹かれあい、関係を持ってしまう。罪の意識を感じつつもアンナと関係を続けるスティーヴンだが、マーティンがアンナと結婚すると申し出たのを機に別れることを決意する。しかしアンナはスティーブンといっしょにいたいからマーティンと結婚するのだと言い放ち・・・。
『死刑台のエレベーター 』『地下鉄のザジ』『プリティ・ベビー 』のルイ・マル監督による許されざる恋を描いたエロッチックな恋愛映画。スティーブンにジェレミー・アイアンズ、アンナにジュリエット・ビノシュ。監督の『死刑台のエレベーター 』『ルシアンの青春』などと似て、愛する者のために自分が行った行動の清算を強いられ辛辣な報いを受ける物語で、それらの作品と同じくその過程や登場人物の心理を非常に冷徹に緻密に描いているのが特徴。私自身は初めて観たとき、ジェレミー・アイアンズとジュリエット・ビノシュのラブシーンが大仰でリアリティにかけ違和感を覚え、ルイ・マル監督ですら『ナインハーフ』などのアメリカ映画の影響を受けているのかと少し失望したのだが、観返してみてこれは、主題は違うが、ルイ・マル監督は、ベルナルド・ベルトルッチ監督の『ラストタンゴ・イン・パリ』を念頭に置いて自分なりの『ラストタンゴ・イン・パリ』を制作したのかなと思った。
ジュリエット・ビノシュのヌード
ジュリエット・ビノシュは心に傷を抱える女で、意図せず(あるいは意図してか?)男を惑わせ狂わせる女の役。個人的にはジュリエット・ビノシュとジェレミー・アイアンズとの相性がいいとは感じられず、お互いに役者としての個性がありすぎ、大仰なラブシーンも含めて歪さを感じたが、むしろその歪さこそが作品のテーマやトーンを表しそれを強調しているのかなと、年を経て観返して感じた。ジュリエット・ビノシュが大胆なヌードを見せているが、それ以上にジェレミー・アイアンズの脱ぎっぷりと色気がスゴイ映画。
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Skreba Films Nouvelles Éditions de Films Le Studio Canal+ Channel Four Films The European Co-Production Fund Canal+ Pyramide Distribution Majestic Films International Entertainment Film Distributors
イングリッシュ・ペイシェント(1996/米/英/162分) 映画の感想
第二次大戦末期、カナダ軍の従軍看護婦アンは、イギリスなまりがあり大やけどを負った記憶喪失の男を看病するため修道院に留まっていた。そこにイギリス軍の爆発物の処理などを担当するインド人工兵のキップや、記憶喪失の男になにかしらの因縁があるようにみえる怪しげな男カラヴァッジオがやってくる。やがてアンはキップと恋なかになり、カラッジオも含めて彼らは疑似家族のような関係になっていく。カラッジオは記憶喪失の男をドイツのスパイと疑っており彼の質問で記憶喪失の男は少しずつ過去について口を開き始めるが・・・。
マイケル・オンダーチェの小説を基にした、第二次世界大戦を背景とした恋愛映画。第69回アカデミー賞作品賞、監督賞、助演女優賞などを受賞。監督はアンソニー・ミンゲラ。出演者はレイフ・ファインズ、クリスティン・スコット・トーマス、ジュリエット・ビノシュ、ウィレム・デフォー、ナヴィーン・アンドリュースら。私はあまり予備知識なしでこの映画を観たのだが、観る前は看護婦と患者の介護の中で育まれる恋愛物語だったと思っていた。けれども実際は、少しネタバレとなるが、レイフ・ファインズ演じる記憶喪失の患者の過去の恋愛と、その患者を巡って繋がった人々のどこか温かさを感じる交流を描いた作品だった。この両パートが交互に描かれるという構成が良く、砂漠の探索やナチスのスパイも絡んだ過去のパートのミステリーや悲劇性や緊張感と、ジュリエット・ビノシュ演じる看護婦の包容力が精神的にも肉体的にも傷ついた人々を癒していく現在パートの温かみが対比的に描かれそれが良い。
クリスティン・スコット・トーマスのヌード
物語の過去パートで、レイフ・ファインズ演じる記憶喪失の男と特別な関係を結ぶ女の役。彼女とレイフ・ファインズが本作の主演。ラブシーンでかなり大胆なヌードを見せている。
ジュリエット・ビノシュのヌード
辛い戦争体験を経て、ある種達観し、見知らぬ男を献身的に看病する看護婦の役をジュリエット・ビノシュが好演。彼女は本作の演技でアカデミー助演女優賞を受賞。先に述べた通り、彼女の魅力・包容力が、心と体が傷ついた男たちを癒していく様は感動的。
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Tiger Moth Productions Miramax Films Miramax International Buena Vista International
ジュリエット・ビノシュがヌードになった映画
ジュリエット・ビノシュ(Juliette Binoche, 1964年3月9日 – )はフランス出身の女優。
1985 家族生活 La Vie de famille
1985 ランデヴー Rendez-vous
1988 存在の耐えられない軽さ The Unbearable Lightness of Being
1991 ポンヌフの恋人 Les Amants du Pont-Neuf
1992 ダメージ Damage
1995 プロヴァンスの恋 Le Hussard sur le toit
1996 イングリッシュ・ペイシェント The English Patient
2002 シェフと素顔と、おいしい時間 Décalage horaire
2006 こわれゆく世界の中で Breaking and Entering
2007 撤退 Disengagement
2011 ジュリエット・ビノシュ in ラヴァーズ・ダイアリー Elles
2013 カミーユ・クローデル ある天才彫刻家の悲劇 Camille Claudel 1915
2014 アクトレス〜女たちの舞台〜 Sils Maria
2018 冬時間のパリ Doubles Vies
2018 ハイ・ライフ High Life
2019 私の知らないわたしの素顔 Celle que vous croyez