ブルーベルベット(1986/米/121分) 映画の感想
父親が病で倒れ、故郷の町ランバートンに帰郷していた大学生のジェフリーは、空き地で人間の耳を拾い、それを知り合いの刑事に届ける。ジェフリーは刑事の娘サンディから、耳はドロシーというクラブの歌手となんらかの関係があることを伝えられ、彼女に興味を持ち、ドロシーのアパートに侵入して彼女の身辺を探る。ジェフリーはドロシーが家族を人質に取られ、凶暴な麻薬王のフランクに囲われて、性的暴行を加えられている事を知り、その過程で、サンディといい関係にありながら彼自身もドロシーとサド・マゾ的関係に陥ってしまう。しかしそんな二人の関係がフランクの知るところとなり・・・。
当初はそのシュールレアリスト的な作風や過激な描写などで賛否が分かれる存在だったが、いまやアメリカを代表する映画監督となり、「ツインピークス」のヒットでTV業界にも多大な足跡を残すこととなったデヴィッド・リンチ監督の出世作。出演者はカイル・マクラクラン、イザベラ・ロッセリーニ、デニス・ホッパー、ローラ・ダーンら。
デヴィッド・リンチの映画は人によって様々な解釈がなされるが、私なりに簡略にまとめると、人間の心の光と闇との関係(必ずしも善と悪の関係とだけには限らない)を象徴的なものとして描き(日本語のシュールに近い)、物語の中で人間の心の闇が具現化され登場人物にそれが不可思議だが心の中だけの物ではなく実在的なものとして干渉してくるというところに彼の作家性の本質があるということになる(心の中にあるものであるから描かれる者はきわめて暴力的であったり性的であったりする)。その作風によって彼の映画は一見難解そうにも感じられるが、実際は下敷きになる物語はシンプルで、ノワール、探偵・恋愛物、女優の夢物語など、定型的なハリウッド映画を監督独自に解釈し、そこからその根源的な部分(魅力的な部分ともいえる)を抽出してくるのも彼の映画の特徴である。またそれらを表現するうえでの、世界観やキャラクターの造形も含めた、演出や音楽的・美術的な面での監督の手腕も見事で、それらが相まってデヴィッド・リンチの映画は芸術映画としても娯楽映画としても観る者に強烈な「何か」を訴えかけてくる作品となっているのである。
『ブルーベルベット』は『エレファント・マン』や『デューン/砂の惑星』を経て、そんな彼の作家性が確立されたともいえる作品。平穏なアメリカの田舎町の暗部とそこに住む人の心の闇を、ノワール映画や探偵映画を下敷きにして、切り取られた耳の穴などといった象徴的なものを通して主人公が覗き見るというのをスタイリッシュに描く作品。芸術映画としても、キャラクターのおもしろさや演出の妙、主人公が闇の世界からきちんと帰還してハッピーエンドを迎えるということでは娯楽映画としても楽しめる。バイオレンスやエロ要素も良い。後により具体化されて表現されることになる「闇の世界の住人」の描写がデニス・ホッパー演じる悪役などに少し表されているのも興味深く、そのホッパーはじめ登場するキャラクターや演じる役者の配役や演技も魅力的。傑作。
イザベラ・ロッセリーニのヌード
イザベラ・ロッセリーニは、ギャングに家族を人質に捉われて性的暴行を加えられているクラブの歌手役。母親は往年の名女優イングリッド・バーグマン。憐れな被害者というだけではなく彼女も性的に倒錯していたり、イザベラ・ロッセリーニ自身が母親のような完璧な美人女優でなかったり映画後半のシーンに象徴されるような彼女に対しひどく露骨で暴力的な表現がなされていたりで、女優の偶像を破壊するような描写が多いのも本作の特徴。カイル・マクラクランやデニス・ホッパーとの倒錯的なセックスシーンや先に述べた映画後半のシーンなどでヌードを見せている。
ブルーベルベット ウィキペディア
ブルーベルベット IMDb
ブルーベルベット イザベラ・ロッセリーニのヌード画像へのリンク
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イザベラ・ロッセリーニがヌードになった映画
イザベラ・ロッセリーニ(Isabella Rossellini, 1952年6月18日 – )はイタリア・ローマ出身の女優。父親は映画監督のロベルト・ロッセリーニ、母親はスウェーデン出身の女優イングリッド・バーグマン。
1990 ワイルド・アット・ハート Wild at Heart
1990 宮廷円舞曲 Dames galantes
1992 永遠に美しく… Death Becomes Her セミヌード
1993 愛の果てに The Innocent