天使の復讐(1981/米/80分) 映画の感想
ニューヨークで裁縫の仕事をしているタナは口がきけなかった。ある日彼女は路上でレ〇プされ、アパートに帰ってからも別の男に襲われ、無我夢中で男を殺す。サラは男を浴槽で解体し、バラバラにして冷蔵庫に詰め、一部は袋詰めにして町のごみ箱に捨てる。しかしその袋を拾った男に追いかけられ彼女は恐怖から彼を撃ち殺してしまう。それをきっかけにして、タナは拳銃を携え街に繰り出し、彼女にいやらしい視線を向ける男たちを次々に処刑していく。一方タナのアパートの隣人はタナの行動を不信がり、その飼い犬は遺体の収められた冷蔵庫に興味を示し・・・。
男にレ〇プされた口のきけない女が、男への復讐の過程で彼女自身が殺人鬼へと変貌していく様を描いたバイオレンス映画。監督は『ドリラーキラー』『バッド・ルーテナント/刑事とドラッグとキリスト』のアベル・フェラーラ。主演は ゾーイ・ルンド(ゾーイ・タマリス名義)、ピーター・イェーレン、エディッタ・シャーマン、ヴィンセント・グルッピ他。ゾーイ・ルンドはフェラーラ監督の『バッド・ルーテナント/刑事とドラッグとキリスト』にも出演し、共同で脚本も手掛けている。本作は私のトラウマ映画で、幼少期に偶然出会って強烈なインパクトを受けた作品。映画の冒頭で主人公が二度暴行されるという展開が意外性もあってまず恐ろしく、彼女が口をきけないという設定もその恐怖を倍増させる。そしてそこから続く、男をバラバラにして冷蔵庫に保管しその一部を袋詰めにして街のゴミ箱に捨てるもそれを見ていた別の男に拾われ追いかけら恐怖のあまりにその男を撃ち殺してしまうという一連の展開が恐怖はもちろん本当に独特で強烈なインパクトを受けた(当時の犯罪都市ニューヨークへの恐怖、ホラー映画バイオレンス映画としての恐怖、不条理な恐怖、障碍者であることの恐怖、女性であることの恐怖、コミニュケーション不全の恐怖etc)。その後彼女が男への復讐を開始し、次第に殺人を楽しむようになり、それと同時に彼女自身も着飾って美しく変貌していくというのは、『狼よさらば』や『ゼイ・コール・ハー・ワン・アイ〜血まみれの天使〜』といった映画の影響が感じられるが、そこも良い。アパートの隣人のおばさんや、その飼い犬たちもキャラ立ちしていてちょっとした挿話もおもしろく、オチを含めて物語に貢献しているところもグッド。彼女が男性の殺害を楽しむも女性の殺害を躊躇する辺りは、憐れさを感じさせるとともにフェミニズム的視点も感じさせてそこも良い。ラストの仮装パーティのシュールな感じも好き。ブロンクス出身のアベル・フェラーラ監督がとらえたニューヨークのリアルな息遣いも素晴らしい。アベル・フェラーラ監督とゾーイ・ルンドが組みニューヨークを舞台にした『天使の復讐』と『バッド・ルーテナント/刑事とドラッグとキリスト』は私のお気に入りの映画(『天使の復讐』に関しては贔屓目に見てます)。
ゾーイ・ルンド
主役を務めたゾーイ・ルンドは撮影時10代。口がきけない、レイプシーン、バイオレンスシーンと難しい役所を(クール?に)熱演。やぼったい彼女が殺人を重ねていくにつれかっこよく美しく変身するところが実に良い。個人的には彼女はアン・ハサウェイ似の美人さんだと思う。彼女は薬物中毒者で、37歳の若さで麻薬接種による心不全で亡くなっている。ヌードシーンはないが、私にとって映画におけるエロスについて考えるとき非常に重要な作品なので感想を述べた。
天使の復讐 ウィキペディア
天使の復讐 IMDb
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Navaron Films Rochelle Films Warner Bros.

スペシャル・イフェクツ/謎の映像殺人(1984//106分) 映画の感想
女優志望のアンドレアは夫を捨てヌードモデルの仕事をしていた。その撮影現場に夫のキーフが乗り込んできて彼女によりを戻そうと迫る。アンドレアは拒否し、映画監督のネビルの元に逃げ込むが、彼女はネビルによって殺されてしまう。警察は直ちに夫キーフを逮捕するが、ネビルは弁護士を使って彼を釈放させる。ネビルはキーフにアンドレアについての映画を撮りたいともちかける。しぶしぶ協力するキーフだったが、そんな彼の前にアンドレアそっくりの女エレインが現われ・・・。
『悪魔の赤ちゃん』のラリー・コーエン監督によるサスペンス・スリラー映画。出演者はゾーイ・ルンド、ブラッド・リジン、エリック・ボゴシアン他。ヒッチコックの影響を強く感じる作品。女を殺し、その一部始終をフィルムに収めた冴えない映画監督が、その殺した女にそっくりな女とその夫を使って自分の殺人の再現映画を製作しようとするという設定はおもしろいが、良くも悪くもテーマやメッセージ性にそれほど深みはなく(表面的にはあまり感じさせないがヒッチコック映画ではそれらが大抵深い)、一方でヌードシーンや刺激的な殺人シーンなど「見せ場」は多く、監督の演出も巧みで撮影技術も安定していて、数多く存在するヒッチコック風味のエクスプロイテーション映画、セクスプロイテーション映画のなかではよく出来ている部類。映画監督役の『トーク・レディオ』のエリック・ボゴシアンの演技も良い。
ゾーイ・ルンドのヌード
『天使の復讐』のゾーイ・ルンドが殺される女優志望の女と、彼女にそっくりな女の二役を務める。ワーナーブラザーズ傘下のニュー・ライン・シネマの作品で、ゾーイ・ルンドにとってはメジャー映画での初の(そして最後の)主演作であり、その「大役」に答えている。けれどもその後女優としての彼女の目立った活躍はなく、37歳の若さで亡くなった。『めまい』を意識したメイクは美しく、殺害シーン、『フレンジー』を彷彿とさせる遺体のシーン、大胆なヌードシーンと、ヒッチコック風味のエクスプロイテーション映画、セクスプロイテーション映画の要素の大部分を彼女が担っていて素晴らしい。
スペシャル・イフェクツ/謎の映像殺人 ウィキペディア
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Hemdale Film Corporation Larco Productions New Line Cinema

バッド・ルーテナント/刑事とドラッグとキリスト(1992/米/96分) 映画の感想
ニューヨーク州ブロンクス。「警部補」はドラッグ中毒の汚職警官でセックスとギャンブル漬けの毎日。そんなある日彼は修道女の女が十字架を使ってレ〇プされる事件に関わり、犯人をかばう彼女に心に何かひっかかるものを感じる。野球賭博で負け続ける「警部補」は、ついに胴元から殺すと脅されるが彼は賭けを止めようとせず、薬を使い続ける。追い詰められていく彼はあのレ〇プされた修道女にすがり犯人を教えてくれたら自分が殺すと告げる。しかし彼女は頑なに犯人たちを許すと答え・・・。
『キング・オブ・ニューヨーク』 『ボディ・スナッチャーズ』のアベル・フェラーラ監督によるクライムドラマ。主演はハーヴェイ・カイテル。脚本はアベル・フェラーラと彼の『天使の復讐』に出演したゾーイ・ルンド(俳優としても出演)。ドラッグとセックスと賭け事漬けの悪徳警官がレ〇プされた修道女に出会う事で改心する様を描いた物語といえば聞こえはいいが、「警部婦」のダメ人間ぶりの描写が尋常ではなく、途中で挟まれる彼の挿話の一つ一つもハードで印象的なものが多く、それを演じるハーヴェイ・カイテルの演技がとにかく見事。そしてそのどうしようもないダメ人間ぶりの積み重ねが後半の彼の「改心」をドラマチックなものにし深く感動させる。この時期のハーヴェイ・カイテルは、スランプからの再起の途上にあり同年の『レザボア・ドッグス』で再ブレイクを果たすが、そんな時期にあって本作の彼の演技が私には一番印象的。アベル・フェラーラ監督の『天使の復讐』は私にとってトラウマ映画で、その主演女優であったゾーイ・ルンドが係わった本作にも特別な思い入れがある。傑作。
ヴィクトリア・バステル/フランキー・ソーンのヌード
「警部補」による乱交パーティ(ヴィクトリア・バステル)、職務質問での若い女の子への酷いセクハラ(ビアンカ・ハンター)、修道女の裸(フランキー・ソーン)、ハーヴェイ・カイテルのオールヌードなど印象的なシーンが多いのもこの映画の特徴。(画像はゾーイ・ルンド(赤髪の女))
バッド・ルーテナント/刑事とドラッグとキリスト ウィキペディア
バッド・ルーテナント/刑事とドラッグとキリスト IMDb
バッド・ルーテナント/刑事とドラッグとキリスト ヴィクトリア・バステル他のヌード画像へのリンク
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Aries Films
ゾーイ・ルンドがヌードになった映画
ゾーイ・ルンド(Zoë Lund、1962年2月9日 – 1999年4月16日)はアメリカ合衆国のの女優、作家、脚本家。
1984 スペシャル・イフェクツ/謎の映像殺人 Special Effects